彼×私×彼女の事情
「これは君が持ってきたのか?」
「はい。今、住んでる近くにあるケーキ屋さんで。和菓子の方が良かったですよね?」
「いやいや、ワシも母さんもケーキが大好きで特にクリームたっぷりのショートケーキやフルーツたっぷりのタルトが好きなんだ。二人の唯一の共通点かもな」
ちょっとホッとした。
正直、私の好物で選んできたものだったのでセンスが問われて嫌われたらどうしようと不安だった。
しかもお義母さんと違って優しい。
お義父さんとは上手くやっていけそう。
「今までの子は俊に聞くせいかうなぎパイばかり持ってくる。俊が小さい頃、ワシと静岡に行ってお土産に買って帰ったんだ。母さんが喜んだのが嬉しかったらしく母さんが好きと勘違いしてなぁ。俊がことあることにうなぎパイばかり買うから母さん正直あまり好きじゃなくなったみたいでワシが食べる担当になっててなぁ。大変だ。アハハ」
「アハハハハ」
私もパイを渡した。
笑えない。
正直、俊くんの馬鹿って思った。俊くんらしいエピソードで今まできた女の子が認められないは俊くんにも原因があるように思えた。