彼×私×彼女の事情

「それは……」

お義父さんが不思議そうに私の作業を見ながら話しだした。


「玄関にあった鶴の置物の作り方教えて貰ってるんです」


「そんなもんを知りたいなんて珍しい子だなぁ」


「知りたいって思うと止められない性格で」


「好奇心旺盛とはいいことだ」


二人で笑った。


凄く話しやすくて楽しい。

聞きたいこといっぱいあるけど聞いていいのかな。質問攻めされるとダメかな。



ぐずぐずしている間にケーキを用意していたお義母さんが帰って来てしまった。せっかくのチャンスが台無し。


自分の不甲斐なさに傷つく。



後悔している暇もなくお義母さんが


「教えて欲しいって言ってたのに全然進んでないじゃない。384個いるのよ。あなたが言い出したんだから最後までやりなさい。後、さっきからずっと言おうか迷ってたんだけど……玄関にあるのは鶴じゃなくて白鳥」


「母さん、ワシも合わせてたのに何も言わんでも……」



!!


言われてみれば白鳥だ。


いや、どう思い出しても白鳥だ。

最初に鶴教えてくださいっとお願いした時に鶴?っと疑問に反応していたのは白鳥だったからだ。

白鳥と鶴を間違えてたなんて恥ずかしい。二人とももっと早く言ってよ。てか、お義父さんかばう所間違ってるよ。

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