彼×私×彼女の事情
勘違い
お義母さんのペースで進み午前中が終わった。
今日の反省会は長くなりそうだ……。
(ピンポン)
チャイムが鳴り、お義母さんが向かった。
私はお義父さんと話ながら白鳥のパーツ作るため、必死に手を動かし続けた。綺麗にしないと大雑把な性格がバレてしまう。
「美樹さんは薬剤師さんって言ってたかな?」
「ハイ。そうです」
お義父さんがケーキを食べながら言った。お義父さんが作るのに飽きてきている。
「ワシの友人なんだが血圧が高いらしくてどうしたらいいかなやんでるんだがどうしたらいいのかな?」
医者や薬剤師、看護師などと職業を言うと健康相談がはじまる。
質問にウンザリしているのも事実だが薬剤師として答えないわけにもいかない。
「病院に行って血圧をコントロールできるようになったほうがいいですね。放置すると脳梗塞などの原因になりますから。早めに行ってください」
「おぉ〜そうか」
絶対に友人の正体はお義父さんだ……。
よく考えたら今お義父さんと二人だしお義母さんのこと聞こう。お父さん飽きてるし。
さっきの公開を取り消さないと。
「お義父さんとお義母さんって結婚して何年ぐらいたつんですか?」
ちょっとずつ聞き出して私を大好きになって貰わないと。
「9月12日で28年ぐらいたつかな?9だったか?ん?まぁ、その前後だ」
「長いですね。私も二人みたいな仲良しになるのが理想です」
ありきたりなコメントを返した。
「懐かしいな。母さん昔、スチュワーデスで綺麗だったんだ。医者やパイロット、芸能人なんかもいたなぁ。とにかくかなりのライバルがいた。そんな母さんがワシと結婚してくれてなぁ。なのに、転勤族なうえ仕事ばかりして家には帰らない。しかもなかなか子供が出来なくてなぁ〜最初の数年は結婚してても一人ぼっちだったと感じてたはずだ。寂しい思いばかりさせた。言葉にもださずじっと我慢してワシについて来てくれた。本当に感謝してる」
お義父さんの話にジーンときた。優しい口調で話すお義父さんからは嘘のない本当の感謝の気持ちがあふれ出ていた。