地味子ちゃんの知られざる秘密
「聞いてなかったけど」


「そっか~、ならいいや」


『…鍵空いてるから、入っていいよ』


インターホンから紫音の声がした


いつもと同じ


そっか……




私、ここに毎年来てたんだ


何か……遠い昔のことみたいだ


静かに扉を開けると


「ワンッ」


と声がした


「…ナオ…?」


私の、思い出したばかりの記憶に刻まれていた名前


「ワフッ」


擦りよってくるということは、合っていたのだろう


「久しぶりだね…」
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