迷い子

握った手にギュッと力をいれた。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…!言う通りにするから…叩かないで…」


恭平にこんな過去があったなんて…


「ほら、俺、泣いてないでしょ?だから叩かないで…」


ははは…


膝を抱え、力なく笑う恭平。


グシャリと頭の肉や骨が飛び散った。


そして、またあの音が聞こえた。


カチャリ


「鈴木恭平は飛び降り自殺だったんだよ。」


あぁ…恭平までいなくなってしまう…。

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