絶対、逃がさない!(短編)
 ようやくちょっとは読めるようになった字を書く。

 

 ごめんね、ひなちゃんって・・・。



 大好きな、怪獣のイラストも描いたりして、最後にセロテープで四葉のクローバーを貼り付けた。

 特製しおりの完成。大人の目からみれば、とてもつたないものかもしれないけれど、それはそのときのおれにとっては、一生懸命、心をこめて作った力作だった。

 言葉では上手に謝れないから・・・明日、これを渡そう・・・って思ったんだ。



 だけど・・・。



 陽菜は翌日、公園に現れなかった。

 ていうか・・・おれがいると、公園には来なくなった。

 明らかに避けられるようになった。

 当然の結果だ。

 陽菜の姿を遠くで見つけても、おれに気がついたら、脱兎のごとく、逃げ出すようになった。

 その態度に、おれは謝る気なんてまったくなくなって、ますます、いじわるな気持ちを募らせていくんだ。






 
 
 


< 12 / 35 >

この作品をシェア

pagetop