絶対、逃がさない!(短編)
「にげたな、おまえ」



 おれが言うと、陽菜はびくっと肩を震わせた。



 ・・・図星か。



 避けられる理由は自分にあるというのに、おれは自己中だった。

 むかむかして、かっとして、陽菜に宣言した。



「いつまでも、逃げられるとおもうなよ! おぼえてろ!」



 言い捨てて、踵を返し、かけだした。



 逃げられて、つかまえてどうするのだろう?



 そんな疑問が頭に浮かんだけど、かき消した。

 それに、陽菜は中学からそのまま、同じ女子高に通うだろうし・・・おれたちの道は交差することなど、ないと思っていた。

 

  
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