絶対、逃がさない!(短編)
 でも、いつだったかな?



 そうだ、あれは小学生になって初めての五月の連休。

 暇をもてあまして公園にやってきたおれは、そこで陽菜を見つけた。

 陽菜は真っ白く咲きみだれるたくさんのシロツメクサの中にいた。

 小さな手を地面について、下を向いて一生懸命何かを探していた。

 いつもはいじめてやろうとしか思わないおれだったけど、そのときは違った。



 ふんわりとすその広がったピンク色のワンピースをきた陽菜は、なんだかどきどきするほどかわいらしかった。
 
 だから、静かにそばに行って、声をかけたんだ。

 驚かさないように、いつものようににげだされないように、そうっと・・・。

 
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