絶対、逃がさない!(短編)
「なにしてるんだよ、陽菜?」

「光くん?」



 声をかけたのがおれだったのに、すこしびっくりしたようだった。

 だけど、いつものおれと違うことに気がついたのか、警戒心がないのか、いじめられてもこりないのか・・・陽菜は逃げ出さずに、答えた。



「あのね、四葉のクローバーをさがしているの」

「四葉のクローバー?」

「うん。幸福の、四葉のクローバーなんだって。

 みつけたら、幸せになれるんだって」

「ほんとうに?」


 はっきりいって、そういうものにはまったく興味はなかったけど、



「ほんとうだよ」



 って、いって笑った陽菜の笑顔に吸い寄せられるように、おれは地面に座った。



「おれも、さがしてやる」



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