狼たちと一人のお姫様
殴られる、1秒ぐらい前に響いた言葉。
「君、そんなことしていいの?」
甘く、艶っぱい低い声。
次の瞬間、
バシイィィ…ッ!!
という、盛大な音が響いた。
なのに、どうしてだろう…。
殴られたはず…なのに、何処も痛くないあたしがいる。
うっすらと、瞳を開けたその先には―――――。
「大丈夫?」
そっとあたしに触れ、顔を覗きこみながらも、手のひらで拳を受け止めている超美男子様がいた。