クイーンofバンパイア~始まりのフルムーン~
満月が消えても
あの頃…。まだ覚醒前には一人で出歩くことは許されなかった。





満月の夜に…。貴方に出会った。あの時…。幸せだって思えたけど。
出会わなかったら…。こんなにも苦しまなかった。





今は自由なんてない。
一族の期待が運命が全て私の背中にのし掛かる。




お腹空かなくて…。なんて言えない。むしろ…。お腹空いてどうしようもない衝動にかられる。
あの頃には戻れない。





クイーン候補者。
何故私が…。逃げ出したい。
「アンジェリカ様。」






「何?」
扉の外でメイドが呼ぶ。
「ロビン様がお呼びです。」





「わかった…。準備したら行きますと伝えて。」





はぁ疲れた…。父上なんて…。嫌いよ。






逃げてやる…。父の思い通りになるなんて嫌。
人間界に逃げよう…。オリに会いに行く。





満月の夜に会った少年を探しに行くの…。オリオン。
もうすぐ…。成人。その前に会うんだ。






満月は闇の世界の魔力の証。そして…。クイーンの証。バンパイアは特殊な能力に血を貰う怪物。その為子孫を残せない。
特殊な能力…。クイーンになるものは一族の期待を一身に受け取り子孫を残す。魔力…。他者の魔力を反射し無効にする月の血を持つもの。





ブルームーンと呼ばれ、覚醒した日から…。運命を呪った。
何故この証。クイーンなんてなりたくない!
父は成り上がりしか考えてない。
私は好きな人と一緒にいたい。一族の重い縛りなんてまっぴらなんだから。





部屋を逃げ出し、満月の鏡を使う。






サヨナラ…。父上。サヨナラ…。闇の世界。
月の魔力を発動し、人間界へ落ちる。
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