クイーンofバンパイア~始まりのフルムーン~
このままだと私は…。私でなくなる。
全てを闇に消してしまえるけど…。






「ブルームーン…。まだ帰らないおつもりですか?私も引けないのですよ…。レオン様から頼みでは。」






「父上が…。」
あの暴君ならやりかねない。






辺りは闇に…。満月はクイーン候補に答えるように静まり帰る。






「それなら尚更…。ましてや父の命令なら他の怪しい方々がいらっしゃるはず。」






「だから私が一番に貴女を欲しいのです。」
炎が灯る。






「私は…。クイーン候補。玉座は父の手のひらに載っている…。なんて言いたいのかしら?」





ニヤリッと笑う。
はっ!やっと逃げて来たのに冗談じゃないわ!





闇のビロードが濃くなる。炎ごと生を吸い上げようと…。





闇は答えなかった。
血が…。血が足りない。




「俺に何が出来る?」
手を握りしめて来た彼は…。慎二は真っ直ぐ見つめてた。





「ダメよ…。これ以上は。」
言いたいことはわかる。




「あいつをなんとかできるか?」




「ダメ…。ダメよ!」
首を振る。




「早くしろ…。」
体を傾け首を預ける。





手首を頭に持って行く…。あの日と同じ…。オリオン…。






「間に合いましたかな…。」
手首は抑えられていた。



「ロベルト!何故ここに…。ポルも一緒?!」





「いいえ。我が君は城にて…。」





炎が取り囲む。
「少々お待ちください。」



灰の執事は一瞬にして消えた。





「がはっ!きっ貴様!ロビンの…。」
炎の貴公子は倒れて消えた。





ステッキを優雅に持ち直しながら
「心臓は貫いておりませんがしばらくは何も出来ないでしょう。」





「ありがとう…。ロベルト。私は…。」
澄んだ瞳に戻っていた…。




「とりあえずここからはなれましょう。ブルームーン…。」
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