狼のト・リ・コ
「「「きゃーっ!王子~!!」」」



だぁぁぁぁあぁっ!

うるさいっっ!

キッと女子の集団を睨むと、その真ん中には海東がいた。

やっぱりうるさい原因はアンタか。



「あ、来たよ~。旦那さん。じゃ、また後でね?」

「旦那じゃないし。ま、準備終わったら部屋来ていいよ」

「はいは~い」



海東に近づくと、遅いと文句を言われた。

じゃあ来なかったらいいじゃない・・・。



「アンタの車?それともうち?」



苦情を無視して話しかける。

気に入らなかったのか、ムッと顔をしかめた。



「お前んとこに決まってんだろ?会場はそこなんだから」



なんでそういちいち偉そうなんだろう。

イラつきを通り越して、だんだん不思議に思えてくる。

校門の前に停車していたうちの車に二人で乗り込む。

しばらく沈黙が流れていたが、海東が口を開いた。



「ってかさ」

「何」

「いつになったら気づいてくれるわけ?」

「・・・は?」



しゃべりだしたと思ったら、何言ってんの?

しかも主語がないし。



「俺の名前聞いて、ピンとこないの?」


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