狼のト・リ・コ
「・・・北原って誰?」

「え?あぁ、北原 恭だと思うけど」

「へぇー。北原財閥んとこのご子息か」

「んー・・・ま、いっか。じゃあ、私支度してくるから」

「手伝ってやろうか?ドレス着るの」

「・・・バカじゃないの」



冷たい視線を送ると、つまんね、と悠斗も着替えに行った。

つまんなくないしね。

ホントに悠斗はむかつく発言が多いよね。

手伝わせるわけないっての。

自室に行くと、ドレス数着と私専属のメイド、桜木 真琴と数人のメイドがいた。

真琴はまだ20歳。



「あっ、お嬢様、おかえりなさい!」

「ただいま」

「お嬢様、今日のドレスですが、どれになさいますか?厳選して数着選んでおいたんですけど・・・」

「んー・・・。や、任せるわ」



私にとっては最悪なパーティーなんだから。

気分的にはこのまま制服でもいいんじゃない?って感じだし。

やる気のない私とは裏腹に、真琴は瞳を輝かせている。



「分かりました!」



真琴はもう目星をつけていたのか、数着のドレスの中から素早く一着を抜き取った。



「では、本日はこちらのドレスで。ピンクのミニワンピです。カワイイでしょ?」



手渡されたドレスは、レースが所々にあしらってあり、派手すぎず上品な感じに仕上がっていて、確かにカワイイ。

でも私としたら、いつものパーティーで着るようなクール系の方がいいんだけど。



「あれ、イヤですか?」
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