狼のト・リ・コ
「ユリ・・・」



私をこれでもかというくらいに抱きしめるユリは加減を知らないらしい。

痛い。

アンタ力強すぎるから。

マジで痛いから。

殴ろうかと本気で考えていたら、ガバッと体を離し、じぃーっと見つめてきた。

・・・なに?

なんか、どっかおかしいの?

ワケが分からず首をかしげると、ユリが叫びだした。



「かわい~っ!!やばい!!キュンキュンするっ!!」

「・・・よくわかんないんだけど」

「いいのいいのっ!」



満面の笑みで私を眺めている。

ところで・・・



「なんで私の部屋きたの?」

「え、なんでって・・・レイが言ったんだよ?準備できたら来ていいよ~って」



・・・そんなこといったっけ。



「言ったんだからねっ!さ、会場行こー!」

「ん、そうだね。行こっか」



ベトッと引っ付いたままのユリは、正直言って歩くのに邪魔だ。

まぁ、そんなこと言ったらスネられてめんどくさいことになるのは既にもう学習済みなので言わないけど。





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