狼のト・リ・コ
「いい!?王子は成績優秀、運動神経抜群、容姿端麗でおまけに海東財閥の御曹司!それに加えて帰国子女でね、アメリカに行ってたんだって~♪」



・・・と、最後の方では般若の形相から一転、ものすごくデレデレした表情になっていた。



「ユリ、そいつが好きなの?」

「まさか。違うよ。私好きな人いるし」



何言ってんの、みたいな目で見られた。

そりゃぁ、あれだけ熱弁されたら、好きなのかと思うでしょ。



「そして!」

「まだあるの?」

「・・・」

「や、続けて?」

「婚約者がいるんだって!」

「財閥の人間だったらいてもおかしくないでしょ。私もいるもん」

「・・・はぁ!?!?え、なんで教えてくれなかったの!?玲に婚約者がいるなんて今始めて知ったんだけど!!」



そう、私も一応財閥の人間。

水川財閥の一人娘として、それはそれはもう、迷惑なくらい甘やかされて育った。

それでも、政略結婚って言うのは付き物みたいで。




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