狼のト・リ・コ
そんなことを思い出して一人苦笑した。



「私だって昨日知ったんだから」

「え、そうなの?・・・で、相手は誰なの?」

「さぁ?聞いてない」

「えぇー・・・」



恋愛話大好きっ子のユリは、小さく口を尖らせた。

えぇーって言われても。



「玲は相手の人がどんな人なのか気にならないの?」

「ならない。正直、どうだっていい」



だって、気にしたって何も変わらないし、婚約破棄されるわけでもない。

イヤだと思って婚約者が変わるわけでもないんだから。



「へぇ?どうだっていいんだ?」

「は?「「きゃーっ!!」」



は?

なんなわけ?

うるさいんですけど。

なんでそんなに女子叫んでるわけ?

ってか・・・

目の前にいる人、誰ですか?



「ちょっ、玲!」



思いっきりユリに引っ張られた。



「な、なに」

「なんで王子がいんのよー!?」

「・・・王子?」



言われて、もう一度目の前の顔を見る。

――なるほど?

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