狼のト・リ・コ
「ま、そゆこと。勝手に帰んなよ」



女子の悲鳴とともに、冷血王子は教室から出て行った。

まぁ、うちでパーティーがあるのはわかった。

でも、なんでアイツと一緒に帰らなきゃいけないの?

すっごい面倒なんだけど。



「ちょっと玲、なにしかめっ面してるの?いいなぁ~、王子が婚約者なんて!」



大きな瞳を輝かしている。



「変わってほしいんだけど」

「何言ってるの?うちと海東様とでは全く釣り合わないよ!」

「じゃあうちはどうなんのよ・・・」

「・・・天然なのかバカなのか、分かんないんだけど。いい?水川財閥はフツーに海東財閥と釣り合ってるから!」



なんで分からない!?と、半ば切れられた。

えぇー。

そんな怒らなくても・・・

ユリの説教はホントに長い。

あぁーあ・・・絶対始まるよ、地獄の説教タイム。

現実逃避でもしようかな、と思っていると、タイミングよく担任が入ってきた。



「席につけー」

「・・・チッ!」



舌打ちしたね、今。

思いっきりしたよね。

ま、説教回避できたからいいんだけど。



「あ、水川っ!」



いつもならすぐにHRが始まるのに、なぜか呼ばれた。

なんかしたっけ?と思いながらも、返事をしないわけには行かないので返事をする。



「はい?」

「聞いたぞー、婚約話!海東が旦那なんて、大変だな~」



でた。

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