【短編】嘘つきなキミに、キス。
嘘つきなキミに、キス。
「――――ねぇ、あたしとキスしてみない?」
もうすぐ夏が来る。
雑誌の海特集に載っている水着から覗く白い胸を眺めていると、あぁ、夏だなぁとか思う。
……そーだよ。
どうせエロいことしか、考えてねぇよ。
まぁ、こんなの俺だけじゃねぇさ。
昼間はキッチリとしたスーツを着こなした、そこらにいる爽やかなサラリーマンも、どうせ一緒。
誰でも自分の中には男がいる。
本能には、そう簡単には逆らえるもんじゃない。
下手すりゃ、やけどする。
ま、結局は何が言いたかったかって言うと。
「…何で、俺?」
男ってのは、すぐにその気になっちまうってこと。