【短編】嘘つきなキミに、キス。
「…なに」
あんまり見るなよ。
押し倒したくなるだろうが。
「冴島?」
「…どうして、信じてくれるの?」
冴島は震える声で、そう尋ねた。
どうして、って…
「…分かんねぇ」
そんなの知るかよ。
俺の返答に、冴島はビックリしたように目を見開いた。
ハッ。
変な顔。
「理由なんかねぇよ。ただそう思っただけだ」
微笑をこぼしつつそう言えば、冴島はフッと笑った。
「……馬鹿みたい」
「お互い様だろうが」
「そっか…」
冴島は、ぽすん…と俺の肩に寄り掛かってきた。
冴島の髪が首筋に当たって、何かくすぐったい。