【短編】嘘つきなキミに、キス。
「…要」
「あ?」
「ありがとう…」
「……あぁ」
「あのね」
「うん」
「嬉しかった」
「…そーか」
「うん」
そう言うと俺の肩から体を離し、冴島は優しく笑った。
まるでそこに大輪の花が咲いたように、パッと辺りが明るくなる。
「ねぇ、要」
お願いがあるの。
その笑顔に見惚れている俺の傍で冴島が囁く。
「…なに」
あぁ、もう。
心臓に悪いんだよ。
内心で悪態をつき、俺は小さくため息をもらす。