【短編】嘘つきなキミに、キス。
「名前。呼んで」
「は?」
何だソレ。
名前?
「……冴島?」
「違うったら」
むすっとしたように唇を突き出す冴島を見つめ、俺は眉を寄せた。
何だよ。
何がしたいんだ。
「違うって?」
「もう…分かってるくせに」
なぁ、冴島。
やっぱりあれはただの噂だったんだな。
お前が援交?
笑わせるよな。
「ねぇ、要…」
「誰が呼ぶか」
「…ケチ」
ほら。
こんな小せぇことで顔を真っ赤にさせてるヤツが、そんなの出来る訳ねぇだろ。
それに、さっきのキスだって。
体カチカチに固まってたじゃねぇか。