【短編】嘘つきなキミに、キス。
寝転がっている俺の顔を覗き込むように見つめていた顔が、ふわりと笑う。
「だって瀧川くん、カッコイイし」
長い髪の毛を耳にかける細い指先に、ドキッとしてみたり。
ハッ。
馬鹿みてぇ。
「それにね。瀧川くん、今、彼女いないんでしょ?」
「…要(カナメ)でいいよ」
単純すぎんだろ、俺。
自分の行動の軽さに内心で苦笑いをこぼす。
「じゃあ、要」
ふと気がつけば、ソイツは俺の横に移動していた。
目を細めながら、華奢なその体の線を眺める。
…細いな。
ちゃんと食ってんのかよ。
お世辞でも、抱き心地は良さそうとは言えない。