【短編】嘘つきなキミに、キス。




寝転がっている俺の顔を覗き込むように見つめていた顔が、ふわりと笑う。




「だって瀧川くん、カッコイイし」




長い髪の毛を耳にかける細い指先に、ドキッとしてみたり。


ハッ。


馬鹿みてぇ。




「それにね。瀧川くん、今、彼女いないんでしょ?」


「…要(カナメ)でいいよ」




単純すぎんだろ、俺。


自分の行動の軽さに内心で苦笑いをこぼす。




「じゃあ、要」




ふと気がつけば、ソイツは俺の横に移動していた。


目を細めながら、華奢なその体の線を眺める。


…細いな。


ちゃんと食ってんのかよ。


お世辞でも、抱き心地は良さそうとは言えない。
< 2 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop