【短編】嘘つきなキミに、キス。
「ね、要。キスしてよ」
まぁ、そんなこと考えてる場合じゃねぇか。
近づいてくる唇を見つめ、俺はその細い腰を引き寄せた。
柔らかい感覚が唇に触れる。
何度も啄むようなキスを繰り返し、俺は目を閉じている相手を見つめていた。
長い睫毛に、陶器のように白い肌。
かなりの美人だ。
確か名前は……
「…っハア」
唇を離すと、苦しそうに酸素を求めている。
そして、キレイな瞳を俺に向けた。
「見た目とは違って、情熱的なのね、要って」
ビックリしちゃった。
そう言って、鈴を転がしたように優しく笑った。
その顔に、
「……冴島?」
ポツンと声をかけると、ふと笑うのをやめた。
きりりとした眉が片方上がる。