prayGirl

「……ってこと。」

「鈴木キレさすなんて、やるね、あのオバサン」

机の中の教材と雑誌を鞄に突っ込む。

とことん、沖野の二の舞だ。

「沖野の二の舞だなぁ」

同じことを考えていたらしい。

「なんていうかさ、どんな道を辿ったって結局は同じゴールにたどり着くんだな」

「いい感じな台詞で纏めんな。なんか使うとこ違うし」

「俺も帰ろうかな」

「サボりかよ」

「久々にカラオケとかどうよ?」

「1人で行っとけ」

「じゃぁな」と残して教室を出る。

浅倉は始終俺を見ていたが、声を掛けられるのも面倒だったから目を合わさなかった。

三好に言えば確実にまた「鈴木ってば冷徹キャラ!」とか騒ぐんだろうな。

馬鹿なことを考えてしまった。

足に馴れた軟らかい運動靴に履き変える。

外に出て、空を見る。

灰色だ。

なんの楽しみもない。

沖野は1人、いつもこの空を見ているのか。

ゆっくり歩きだす。

やっと三好が俺に追い付いた。

「どこ行くよ?三好」

「どこでも付き合うぜ、相棒」
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