prayGirl

「…………ちっ」

私の柄の悪い舌打ちに前の席のガリ勉君が振り向く。

「どうかしたの沖野さん」

「別に」

ガリ勉君こと中村悠介は「そぅ…なら別にいいんだけど」とかぶつぶつ言って前を向いた。



何が「別にいいんだけど」だ。

中村には最初から関係ない話。

あいつは勉強も出来るし基本良い奴だけど、こういう所だけは無理。

全てに自分が干渉してないといけないみたいな過剰な自意識に腹が立つ。


機嫌の悪い私は心の中で中村に八つ当りをしていた。

彼の方をもう一度盗み見て、また窓の外に視線を逃がす。

空は灰色の雲に覆われていた。

随分と寒そうだ。

雨か、もしかしたら雪が降るかも知れない。

昨日と変わらない今日の風景。

変化のない退屈さ。


もう一度だけと視線を向けた彼にもやっぱり変化はなく、相変わらず楽しげに浅倉と喋っていた。
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