prayGirl
「だからさなんで三好と鈴木君と沖野さんがつるんでるかわかんない」

言い放ったのは浅倉。

「昨日の鈴木君の停学処分、私三好が鈴木君と話してるの聞こえちゃったんだけど、あれ結局沖野さんのせいじゃない?」

「なにそれ、詳しく話してよ」

他の生徒が浅倉をはやす。

浅倉は俺に「話すからね?」と攻撃的に目配せした。

好きにしろよ。

俺がなんと言っても無駄だろうし。

それにしても聞かれてたかぁ。

「つまりさぁ」

中村が口を挟んだ。

「沖野の生活態度が悪かったから鈴木が停学くらったってことか」

反論する気にもならないくらいその言葉は遠く聞こえた。

ただここで反論しないのでは俺はあいつらの友達失格だろうし。

「いや、それは違うんじゃね?鈴木が勝手にキレたわけだから」

「でも呼び出しなんてなければキレることもなかったんじゃん?」

「まぁ、そうだけど」

やばい、言い負かされる。

「沖野って鈴木と三好以外に友達いないんじゃね?」

「それって可哀相くない?」

笑いがおこる。

なんだこいつら。

結局鈴木が心配なわけでもなんでもなくて、沖野を馬鹿にしたいだけなのか。

お前らの方がよっぽど可哀相じゃねぇか。

俺は自分が渇いた笑い声をあげるのを聞いた。

他の連中はまだ笑っている。

沖野を吊し上げて笑っていた。

俺はそんな連中を見て優越感にも似た感情を抱く。

俺はこいつらより沖野をよく知ってる。

こいつらは沖野より幼稚で下らない存在だ。

そして俺はこんな馬鹿な奴らよりも沖野を大切に思う。

その自分の選択に酔うように、俺は嘲笑した。

息を吸って、吐いた。

もう一度吸って今度はそれを声に変換する。

「いいんじゃねぇの?沖野の友達が俺と鈴木だけでも」

空気が凍る。

「少数精鋭でさ」

質の違いを思い知らせてやる。

「本当の友達がいないから、お前らみたいに群れるんだよ」

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