prayGirl
言っちゃったよ俺。

なんか冷静に毒吐いちゃったよ。

先のこと考えずに喋るもんじゃないな。

やばいやばい。

視線が痛すぎる。

「…………とか思ってんじゃないかな、沖野」

「確かにー、思ってそー」

誰かがまた小さく笑う。

どうにかやり過ごした。

ってこれじゃ俺、こいつらと一緒じゃん。

ダメじゃん。

心臓が掴まれたような感覚。

ひやりと首筋を汗が伝った。

俺にだってわかんねぇよ。

なんで俺たち三人がつるんでるかなんて。

気付いたらそうだったんだよ。

沖野だって昔からクールだったわけじゃないし。

鈴木だって今より揺るぎやすい奴だった。

誰が沖野をあんなに刺だらけにしたんだよ。

誰が鈴木をあんなに無表情にしたんだよ。

いろんなことがあったんだ。

弱かったんだよ、あの頃の俺たちは。

だから耐えられなくて。

ただ苦しいことや悲しいことが嫌だっただけで。

ただもう一度三人で笑いたかっただけ。

だから沖野は剣を構えた。

鈴木は自分を消した。

俺は。

俺は二人の陰に隠れて、二人ほどつらい思いはしなかったんだと思う。

あの時、俺もあいつらと闘うべきだったんだ。

俺が何も出来なかったから、今二人は俺の届かないところに行ってしまってる。

これは、罰だ。
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