prayGirl
「邪魔」

声が聞こえた。

「そこ、私の席なんだけど」

女子生徒は何も言わずに席を立った。

中村が前を向く。

周りが騒ついた後、静かになった。

取り残された俺に、声がかけられる。

「おはよう、三好」

ごめん。

俺がちゃんと闘わないから、この世界は今まで以上にお前が居にくいものになってる。

罪を償いたいんだ。

お前らが帰って来た時に、居場所がないのは困るだろうから。

俺がいつまででもお前らを待ってる。

居場所はここだって、両手を広げて待ってるから。

今はそれで償いにはならねぇかな。

「おはよう、沖野」

視線が痛い。

それは俺じゃなくて、沖野に突き刺さってる。

あいつがまた壊される。

脆いのに、強いふりするから。

沖野を学校にいさせたくない。

ちょうど鈴木も停学だし。

たまには昔みたいに三人でいるのも悪くない。

俺は沖野を学校から連れ出す口実を考え始めた。
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