prayGirl
浩一の場合
チャイムの音で目が覚めた。

時計を見ると10時を過ぎたところだ。

「寝坊」とか「遅刻」とかいう熟語が頭の中をくるくると回った後「自宅謹慎」がしゃしゃり出て来たことで俺は自分の焦りに疲労感を感じた。

同時に脳が動きだす。

朧気な記憶を辿って、二時間程前に同じ思考回路を通って二度寝という判決が出た事実をひっぱりだした。

そうだ。

俺は今自宅謹慎を強いられている。

つまり学校には行かなくていい。

自由だ!

……………。

俺はアホかもしれない。

もう一度寝ようかと考えたとこれで自分が何故起きたかを思い出した。

「客…?」

気だるさと戦いながら全身の筋肉を酷使してベッドから抜け出した。

酷使は言い過ぎか。

いや、でも寝起きのそれはなかなか動かないから。

急かすようにまたチャイムがなった。

俺は部屋を出て玄関まで歩く。

鎖を開けようとして、またチャイム。

「聞こえてるっつーの……」

鍵を開けるとノブは勝手に回った。

三好と沖野がいた。

「……おはよう、このサボり魔が」

「おはよう、暴力問題児のくせに。それに常習犯は沖野だけだから」

「おはよう、いいからはやく上げろ。外は寒いんだから」
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