prayGirl

携帯が細かく震えたのは鈴木が戻ってくるよりも先だった。

「バイブ鳴ってる、沖野」

「は?あ、ホントだ」

まだ食べ始めたばかりのパンを机に起き、鞄の中の携帯を探す。

こんな時間にメールしてくる人なんて私の知っているなかで一人だけだ。

受信メール1件:大樹

予想通り。

一応中身を確認して、ため息をつく。

三好が不安そうな顔で箸を止めた。

「また、あいつ?」

私は曖昧に笑う。

机の中の何冊かを鞄に移しながら「仕方ないの」と呟いた。

「行かなくちゃ」

三好はそれ以上制止しなかった。

不快なクラスメイトの視線を感じながらも教室を後にする。

< 5 / 30 >

この作品をシェア

pagetop