prayGirl
携帯が細かく震えたのは鈴木が戻ってくるよりも先だった。
「バイブ鳴ってる、沖野」
「は?あ、ホントだ」
まだ食べ始めたばかりのパンを机に起き、鞄の中の携帯を探す。
こんな時間にメールしてくる人なんて私の知っているなかで一人だけだ。
受信メール1件:大樹
予想通り。
一応中身を確認して、ため息をつく。
三好が不安そうな顔で箸を止めた。
「また、あいつ?」
私は曖昧に笑う。
机の中の何冊かを鞄に移しながら「仕方ないの」と呟いた。
「行かなくちゃ」
三好はそれ以上制止しなかった。
不快なクラスメイトの視線を感じながらも教室を後にする。