prayGirl
階段の踊り場で駆け上がる鈴木に会えた。

すれ違ってから、振り向く。

「沖野」

名前を呼ばれた。

右足を一段目に掛けた状態で左に体を捻った鈴木は、何を言おうとしたのか。

口を「あ」の形にして硬直していた。

「午後、サボることにしたから、よろしく」

私はそれだけ言って階段を駆け降りる。

後ろの方で鈴木が何か言った。

私が何処に行くのか。

誰に会うのか、何をしに行くのか。

鈴木は一つでも考えるだろうか。

私を気にしてくれるのだろうか。

靴に履きかえて、一気に裏門まで走る。

そのまま学校から飛び出した。

人通りの少ない学校の裏の道が、真っ白になっていた。

「ほら、やっぱり、雪降った」

白い世界が私が歩くことによって壊されていく。

その感じがとてつもなく心地よい。

私はすばやく返信メールをうって、また歩きだした。
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