少女が望む宝
左
…これで良い。
そう唱えたのはこれで4回目。
まず、リース1人で行かせる訳には
いかないだろ…、うん。
てか、僕とベンって会話成り立たない…うん。
でも、リースと僕が2人になるのは
なんかやだ…うん。
「はあ…」
さっきから僕は…
てか、でも、って何を言い訳してるんだ?
晴れてるのに薄暗くなった森が
気味悪い。
「いやだな…ここ」
かっこつけて1人で進んだ自分が
酷く怯えているのが分かる
いつになっても1人は苦手。
何も出来ないし、無力で、
虚しいじゃないか。
「虚しいじゃないか」
頭上の木々に
ぶつけた言葉は跳ね返って
自分にぶつかる。
……明るいトコ行きたい。
そう思って浮かんだのは
泣いていた僕に話しかけた
リースの顔だった