少女が望む宝



「で、どこに行けば
宝物があるんだよ…」


少しだけ頬を膨らませて
曇り顔でリースに質問するラリー。


「えっとー地図はマリアが持って…
ああああっっ!」


「なんだようるさ「忘れてた!!!」


リースは目をまん丸に見開いて
焦った表情でラリーを見た


「……何を忘れた?」


「…もう1人…探さなくちゃ」


「は、はあ!?
ちょっと待てよ…
もう1人居るなんて聞いてない」


「だから忘れてたって言ったじゃない
はああー……」


20秒の沈黙



「きーめた!」


右手の人差し指を立てて
ニコッとラリーに微笑んだ


――――――――

「ベンーー!!!」


リースの透き通る元気な声が
孤児院の窓を開かせた



2階の窓から顔を覗かせたのは
リース達より少し歳上の青年



「よおっ!リース!
出掛けたんじゃなかったのか
あ。デートか」


光に透けて
青年―ベンの髪は薄く赤が目立つ


「デートっ!!なっ!!」


ベンの言葉を聞いて
赤面するラリー
そんなの気にせずリースは


「なに言ってんの!
私に好きな人居るって
知ってるクセに!」


…居るんだ。


と心の隅で呟いた
ラリーの言葉はラリーにしか
聞こえない。


「でー!何の用だよ」


「一緒に宝物を探そうよー!!」


『探す訳ねえだろ
そんな面倒くさいこと』


ラリーが想像した
答えとベンの返事は異なった。



「行くに決まってんだろ!
楽しそうだなっ!!
絶対見つけてやろーぜ」



リースは目をキラキラさせて
ラリーはとても嫌な顔をした。




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