こんな私でも愛されますか
コンビニに入った私は、自分のエロ漫画が掲載されている雑誌をおもむろに手に取るとレジに向かった。

秀太郎は何も言わないまま、ただついてくるだけだ。

私の行動が理解できないのだろう。

「それ、何?」
 
雑誌の会計を済ませた私に、秀太郎は恐る恐る聞いてくる。

「ねえ、私のイラストって見たことないでしょ?」

「そういえば……。大学卒業して五年ぐらい経つけど一度も見たことがないかも」

「私の仕事に興味がないの?」

「いや、俺、イラストとかよく分からないしさ」
 
私は小さく笑い、雑誌を広げた。

秀太郎は私そのものに興味がないのかもしれない。 

「この雑誌のここのページの漫画、私が描いたの。私、イラストレーターじゃなくて、ただのエロ漫画家だから」
 
私は秀太郎に自分が描いた漫画が載っているページを押しつけた。

女が思いっきり股を開いたページを見たまま、しばらく秀太郎は何も言わなかった。

いや、ショックのあまり、何も言えなかったのかもしれない。

「付き合いが長いのに内緒にしておくのも悪いと思って。今度の私の誕生日は締め切り前だから会えないから」
 
雑誌を持ったまま、立ちつくした秀太郎。

「私のことを何も知らないんだと思うよ。嘘をついたのは私だけどね」
 
呆然としている秀太郎をその場に残し、私は立ち去る。

二人の縁がプツリと切れた音がどこかで聞こえた。
 
空は青く、太陽の光が街路樹に降り注いでいる。

(家に帰ったら、シャワー浴びようかな……)
 
ふと浮かんだ思いに思わず太陽を見上げてしまった。
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