こんな私でも愛されますか
メンタルクリニックに隣接している喫茶店に入り、煙草を思う存分吸う。

秀太郎は私がこんなにも不潔な女だとは思っていないはずだ。

こんな私でも会うときはシャワー浴びている。
 
秀太郎が結婚してくれたと仮定してみよう。

私は毎日シャワーを浴びることができるのだろうか。

世の中の人は頑張って毎日シャワーを浴びているのだろうか。

こんなことは誰にも聞けない。

結婚したとしても、私のあまりの不潔さに秀太郎から呆れられるんじゃないだろか。

思い返してみれば、元からそこまできれい好きではない。
 

私の中におしゃれとか美容とかに気を使いたい気持ちがないわけじゃない。

ろくに外に出ないのに、おしゃれや美容に気を使ってどうするんだという思いも同時に沸き上がってくる。

医者の言うとおりに、昼間に三十分の散歩をすべきか。

でも、外に出るための準備が面倒くさい。

ああ、私は何がしたいのか!!
 
自分に対する苛立ちが募り、煙草を揉み消した。
 
ふと顔を上げると、よく知っている顔がそこにあった。

昼間の太陽が見せた幻だろうか。
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