儚き蝶
誰かに肩を叩かれて顔をあげると、外はもう薄暗くなっていた。
いつの間にか眠っていたのだろう。
私は肩を叩いた人へ顔を向ける。
図書委員の伊織君だった。
「起こしてくれてありがとう。ごめんね、私が寝ちゃってたせいで図書室閉められなかったよね。すぐ帰るから。」
荷物を持ち立ち上がる私を、伊織君がどんな表情をして見つめていたのかなんて、私には知る由もなかった。
「気をつけて帰れよ。」
彼は一言そう告げると、自分の荷物を持ってドアへ向かった。
私も廊下へ出ると、伊織君は図書室に鍵をかけ職員室の方へと消えていった。
私は溜め息を吐き帰路へとついた。