儚き蝶
●第1章
一目惚れ
私、橘柚葉(タチバナユズハ)は自分で言うのも変だけど、文学系女子でどちらかというと静かであまり目立たないタイプだ。
いつも三つ編みのおさげにして自分の席で読書をしている。
そんな私が高校に入学した一番の楽しみが図書室だった。
中学の図書室に比べると圧倒的に本の分類も数も違う。
だから高校生活最初の昼休みに行ったのはもちろん図書室だった。
心臓をドキドキいわせながらゆっくりと扉を開く。
本の多さに瞳を輝かせながらスキップしそうになるのを抑えて、順番に本棚を見て回った。
その時ある一点で目がとまった。
それは扉から一番遠い窓側の席。
そこに座っている人を見た瞬間思わず息がとまる。