45センチのコイ。
夢香は「その手があったか」と言って、なるほどって顔をした。

でも夢香は、


「あー、でも、待って。
もう少しで思い出せそうなの。
わー……、わー……」


と言って、また夢香の頭は苗字の読み方を思い出す作業に入った。


それから、10分くらい経った。


周りがざわざわしているのに、あたしたちのところだけは、周りとは違うところにいるみたいに静か。


あたしは手を膝に置いて、黙って夢香をじっと見ている。

夢香は相変わらず「わー」と言いながら、思い出し作業中。


あたしも協力しようとしたんだけど……。
ケータイでネットに繋ごうとした時、ピーといきなりケータイが甲高い音を発し、画面は待ち受けに戻り、「電池がありません。充電してください」と真ん中に大きく表示されたのだ。
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