45センチのコイ。
しがつついたちくんの持っている本をじーっと見る。

……ダメだ。
天井の電気と上手い具合に反射して、光ってわからない。

すごく分厚い本だってことは分かるんだけど……。


「優香。
本の名前、見えた?」

「ゴメン、まだ。
もう少し頑張る」


さっきより目を細めて、じーっと見る。

……はぁ、ダメだ。
双眼鏡が欲しいよ。


って、あれ?。

そういえば、夢香ってコンタクトしてたんじゃなかったっけ?。


「夢香、コンタクトは今日はしてないの?」


隣でしがつついたちくんをうっとりした目で、見つめている夢香に問い掛ける。


「目を痛めちゃってて。
ゴメンね」


なるほど。目を痛めてるのか……って、じゃあ……。


「メガネは?」

「かけても全然見えない。
この状態と全然変わんない」


そっか……。
じゃあ、しょうがないのか……。


夢香はそんなに視力が悪いってわけじゃないから、コンタクトやメガネなしでも普通の生活には支障は出ない。

けど、あたしみたいに、授業は席によって黒板が見えない時があるから、コンタクトをしているらしい。

なんでも、メガネは顔に似合わないからコンタクトにしているんだとか……。
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