45センチのコイ。
「優香、本の名前分かった?」


……あっ。
しまった、ついしがつついたちくんの顔に目が行ってしまって……。


「ゴメン、わかんなかった」

「そっか。
イケメンくんとは同じクラスだし、いつでも会えるから今度聞こう?」

「うん……。
そうだね」


ふと、もう一回レジの方を見ると、しがつついたちくんはお会計をしていて、既に本は袋の中に入っていた。


「よし。
じゃあ、せっかく来たんだから、クレープ食べに行こっ」


そう言った夢香は、本屋さんの出入口の方を向いた。


「え?、夢香、しがつついたちくんはもういいの?」


歩き出していた夢香は一旦立ち止まり、振り返って、


「うん。
どうせ明日も会えるし。
優香に付き合ってもらっちゃったから、クレープ奢るよ」


と言って、頬にえくぼを浮かばせてた。


やったっ!。
クレープタダ食いだっ!。

ルンルン気分で夢香の後を追い、「あっ!」と言って、ひとつ思い出したことを伝えた。


「そういえば、しがつついたちくんの買った本のタイトル、日本語で書いてなかった。
英語だったよ」


夢香は「収穫ひとつあったね」と言って、あたしたちは笑いながらクレープ屋に向かった。
< 30 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop