45センチのコイ。
隣の席では、しがつついたちくんがチャイムが鳴ったにも関わらず、本を読んでいる。


……今日も、違う。

しがつついたちくんは、始業式の時に持ってきていた本をずっと読んでいて、あの時みた分厚い本は持ってきていない。

まだ、その本を読み終わってないからなのかも。

読み終わったら、あの本持ってくるかも。

などと、なぜか密かな希望を抱いてしまった。


「ゴメンね、遅くなって」


チャイムが鳴ったのにいつまでも教室に来ない先生が、やっと来た。


そこでようやく、パタンと隣から本を閉じる音がした。


「じゃあ、今日は自己紹介の時間って昨日言ったので、自己紹介をします。
順番は……窓側の席の子か廊下側の席の子、どっちかから始めようと思うけど……」


できれば、窓側の席の子から始めてくれるとありがたいな……。

廊下側だと、すぐ順番が廻ってきちゃうし。

できるだけたくさんの人の自己紹介を聞いて、参考にしたい。


順番は、ラッキーなことに窓側からになった。


ひとりひとり順番にその場で立って、自己紹介をしていく。


みんなの自己紹介を聞いると、「好きな食べ物」や「最近ハマってるテレビ」などがあり、参考にさせてもらった。

中には「彼女募集中」など、なかなかユニークなことを言ってる人がいて、クラスが少し笑いに包まれたりもした。
< 32 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop