45センチのコイ。
ペコッとお辞儀をして、椅子を引いて座る。

……お、終わったぁ〜……。

至って普通な自己紹介ができたと思う。

とにかく、終わってよかった〜。


「……これじゃあ、どっちが名前か分かりにくっ」


……へ?。

今、隣から……しがつついたちくんの方から声がしたような気がした。

もしかして、あたしに向かって言った?。


チラッと隣を見ると、頬杖をついて廊下側の方を向いているため、あたしからは顔は見えない。


もし、さっきの言葉があたしに向けられた言葉だったとしたら、そう思われても仕方ないし納得できる。

あたしの苗字だと、苗字だけ言ったら名前だと思われても仕方ない。

けど、しがつついたちくんだって苗字の読み方がいまいち分からないような人なんだから、名前に関してとやかく言われるのもどうかなって思う気持ちもないではない。


だから、


「何よ、しがつついたち……」


と、本当に聞こえるか聞こえないかくらいの声で、ぼそっと言った。

拍手が起こっている最中に言ったから、隣にも聞こえてないだろう。

きっと、あたしにしか聞こえていないだろう。
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