45センチのコイ。
でも……。

今更、言わないほうが良かったかもしれないと思ってしまい、下を向く。

だいたい、絶対苗字の読み方違うのに声に出してしまったりして、失礼だったかも……。


恐る恐るしがつついたちくんの方を見てみる。


っ!!

う……なんで……なんでこっち向いてるのぉ〜!。

さっきまで廊下側の方を向いてたのに、今は完璧あたしの方を見ている。


「あのさ」


あたしに聞こえるように言っているのか、さっきの声より少し大きめの声。


「俺、“しがつついたち”じゃないから」

「……あ」


とりあえず「ごめんなさい」と言おうと思ったら、急にしがつついたちくんが立ち上がった。


な、なになに!!?。

なんで立ち上がったの!?。


「四月一日秀典(ひでのり)です。
去年は、7組でした」


……あっ。

そっか。今、自己紹介の時間だった……。

ガタガタッと椅子を引いて座るしがつついたちくんは、何事もなかったかのように頬杖をついて廊下側の方を向いた。
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