兄さんには腹括ってもらわにゃならんけぇの
俺達の拠点とする場所は俺のスタジオだ。
秋が作詞作曲をしている。
俺は歌手だ。
もちろんカモフラージュだし、
テレビのオファーは断っている。
本業の分担は、
俺が情報売買と殺しをやる。
秋は情報を持ってきたり、
殺人の依頼人と交渉したりする。
俺達には絶対に敗北は許されない。
なぜなら死を意味するからだ。
秋は用事があると言って学校で別れた。
秋の放課後の行動パターンは2通り。
彼女とホテルか。
俺とスタジオか。
きっと後者だ。
何となくだけど。
強いて言うなら雨だから。
え?
どうして彼女とホテルっていう選択肢があるかって?
秋が他の奴に紹介する彼女=セフレということは、
付き合いが長いので知っていたから。
そんなことを考えていると声をかけられた。
「1人?」
そう声をかけられて苛立ちながらも、
無視を決めこむ。
「俺とシない?」
「1回でいいから」
「お金ほしくない?」
10分間ずっとついてくる男。
しつけぇな。
俺が女に見えるってことなのか?
我慢できなくなって言った。
「俺、そういう趣味ないんで」
よし、やっと解放される。