めあり、ほんとうのわたし
「めありはうちに来たことあったっけ?」
「前に、一度だけ。藤原様とお会いしたときに」
「そう。じゃあ、うちに入るのは木曜に変更しといた方がいいな。大体の建物とか、庭の配置なんかを把握しておいてもらわないと、ミイラ取りがミイラになっちゃぁ困るからな。ついでに覚えとく? コレの使い方」
机に何気なく置かれた銃。
めありは身体で拒否した。
「あ、そ。覚えとくと楽なんだけどな」
「その、楽な感じが嫌なんです・・・・・・」
「そういいながら、めありもだいぶ躊躇なく人を殺せるようになっただろ?」
「・・・・・・わたし、怖いんです」
「何が」
「自分が。自分の本当の身体が手に入っていく喜びが、人の命を奪うことの罪に勝っていくんです」
アンヌ・マリィはめありの言葉を聞いて、はじかれるように、高らかに笑った。
そして、めありをその作り物の眼でじっと見て、こう言った。
「それは、とても正しい感情なんだよ、めあり。卑下する必要はない。お前には叶えたい願いがある。その願いをかなえるために『仕事』をしているんだ」
口元は優しそうなふりをしても、マリィの眼は笑っていない。
この男が何を考えているか、めありにはよくわからなくなった。
「マリィさん」
「なぁに?」
「今回の仕事をわたしがするのは『わたし』だからですか?」
「前に、一度だけ。藤原様とお会いしたときに」
「そう。じゃあ、うちに入るのは木曜に変更しといた方がいいな。大体の建物とか、庭の配置なんかを把握しておいてもらわないと、ミイラ取りがミイラになっちゃぁ困るからな。ついでに覚えとく? コレの使い方」
机に何気なく置かれた銃。
めありは身体で拒否した。
「あ、そ。覚えとくと楽なんだけどな」
「その、楽な感じが嫌なんです・・・・・・」
「そういいながら、めありもだいぶ躊躇なく人を殺せるようになっただろ?」
「・・・・・・わたし、怖いんです」
「何が」
「自分が。自分の本当の身体が手に入っていく喜びが、人の命を奪うことの罪に勝っていくんです」
アンヌ・マリィはめありの言葉を聞いて、はじかれるように、高らかに笑った。
そして、めありをその作り物の眼でじっと見て、こう言った。
「それは、とても正しい感情なんだよ、めあり。卑下する必要はない。お前には叶えたい願いがある。その願いをかなえるために『仕事』をしているんだ」
口元は優しそうなふりをしても、マリィの眼は笑っていない。
この男が何を考えているか、めありにはよくわからなくなった。
「マリィさん」
「なぁに?」
「今回の仕事をわたしがするのは『わたし』だからですか?」