朱月 蝶は舞う

おどろき


 【蓮サイド】

ユイは強いとかユイのことを知った気でいた俺はバカだ。俺は、ユイのことはまだ胡麻粒ほどしか知らないんだ。


今日だって、ユイが拐われたって聞いたとき自分の心の中ではユイは大丈夫だと思っていた。どおして、大丈夫だなんて思ったんだ。

ほんの少しの時間をすごしたから、何でも知っている気になっていた。舜斗や陸とは違って、遠目で見ていた俺。ユイは表現豊かで喜怒哀楽。アイツはいつまでも笑っていればいい……そうやって、笑顔を守っていたオレ。


でも、それは俺が守っていたんじゃない。俺はユイに守られていたんだ。ユイは俺や舜斗、陸、大地、佑介のことを守っていた。喜怒哀楽を……


本当にユイを守っていたのは、いつでもケイだった。

──……俺は今まで何をしていたんだ……


ユイの壊れはてたあの姿をもう、二度と見たくない


ユイにはいつまでも笑顔でいてほしい


ユイにはずっと側にいてほしい




──そのためには、俺が強くならないといけない。


喧嘩だけじゃなくて、心も

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