朱月 蝶は舞う
マンションに着くと、兄貴に鍵を渡された。
「ユイ……、このマンションのセキュリティ……」
「さすがお父さんだよね…」
高級マンション最上階で、セキュリティは指紋認証やカード型の鍵と普通の鍵、暗証番号。最上階に行くまでにいくつもの指紋認証が……
「とりあえず、いい加減に入ろうよ」
「うん」
入ってみると、家にあった家具とは違い白と黒で統一されていた。
これはきっと、龍兄のコーディネートだ。絶対にそうだ!
「あっ、ベッドルームはちゃんと一緒にしてある」
「そこ、一番大事だよね!」
「だな、離れてたら親父蹴ってたな……」
「これ、新しい制服かな?」
「どれどれ、」
クローゼットに入っていた二着の制服らしいものを出してみた。
「今度は学ランか。ユイは…」
「………絶対に似合わないよ……初めて着るよコレ……」
それは、セーラー服だった。紺のスカートで上は白と紺のセーラー。リボンは赤………
自信ねぇ!!こんな、いかにも私は女の子です!って主張してるやつ。花みたいに綺麗な子が着るものなんだよコレ!
あたしなんかが着たら、全国の男子高校生から怒りを買うよ!
「ユイ、絶対に似合うから。しかも、全国の男子高校生の怒りかわないから。」
「あれ?」
「全部声にだしてる」
「あ………」
なんか、嫌な予感がする。