朱月 蝶は舞う


1330号室の扉を開くと、白い布団の中に横になり酸素を取り込むマスクをつけた空がいた。




ユ「空、久しぶり」



ケ「ずっとこれなくてごめんな」



あたしは空の動かない手をそっと手にとって握った。右手はケイ、左手は空。




ユ「空、あたしねまた族に入ることになったんだ。もちろんケイも一緒にね」



ケ「黒龍ってんだ。あいつら面白いんだ。空にも逢わせたいよ」



ユ「空に言われたとおり、前に進んでるよ」




あたしは、空が眠りについてしまったあの日に精神的に正常ではなかった。2日、3日は寝ず食べずに部屋にこもっていた。そんなとき、ふと倒れて2日気を失っていたとき、夢に空がでてきて、『前に進んめ』って『ユイのせいじゃない』って何度も言われた。




ユ「空……まだまだいっぱい話したいこととか、あるんだからね?」




ケ「俺だって、いっぱい話したいこととかあるんだ」



ユ・ケ「「だから……はやくもどってきて(こい)」」





あたしたちは三つ子。

寝るときも

遊ぶときも

ご飯食べるときも

勉強するときも

喧嘩するときも

買い物に行くときも

どんなときも一緒だったんだよ?



はやく元気な空に逢いたいよ。






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