Love Difference 〜the long ago and the now〜
「ありがたき幸せで」

志乃丸は話している雷青の口を手の平で塞いだ。小さい頃はよくやっていたが、恥じらいを持ってからは全くやってない行動に雷青は目を大きくした。志乃丸の手の平が雷青の唇にぴったりとくっついている。

「それは無しだよ、雷青。もう契約は切れたんだからさ。出来たら、その――僕の所でもっと働いて欲しいけど…。」

ゆっくりと口から手を離す志乃丸。ゆっくり微笑む雷青。

「またやります。いいえ、またやるよ、志乃兄。」

「やった!ありがとう、これでいつまでも一緒だ。」

「…そういや志乃兄、拙者、話したい事が有るんだ。」

平成に時越えした時の話をする。

「えっ!そういう事ってやっぱり有るんだ。」

「で、拙者、分かった事が有るんだ。[人を想う気持ちは今も昔も変わらない]という事と、[その気持ちは口に出して言わないと伝わらない]の二つ。その二つはきっと、人が居る限りは永久不滅なんだ。伝わったら――ちょっと凄いよ。」

(太一もそれで苦しんでたんだし。)

と、一人で思い出している間に、志乃丸はドサッと紙の山を運んできた。手紙らしい。
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